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第8回 長押(なげし)って洋服をかけるところ?

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第8回 長押(なげし)って洋服をかけるところ?

長押(なげし)って、どこのことだかわかりますか? 鴨居の上につけた横木、なんていう説明をするよりも、ハンガーに吊るした洋服をひょいとかけておくところ、と言ったほうがピンとくるかも知れませんね。

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いきなりですけど、私は乾燥機を持っていません。だから雨の日は、洗濯物は部屋に干すしかないのです。室内用の物干しに干しきれないぶんは、DKと奥の和室の境目にある引戸の鴨居にかけて干します。洗濯物の下をくぐって部屋を行ったり来たりするのは、なんとも情けないものですね。
さて、洗濯物を鴨居にかけて干すと言いましたが、私は鴨居の側面のことを長押(なげし)と勘違いしていました。今回調べて、このことがわかったのです。私のアパートの部屋に鴨居はあっても、長押はなかったのです。

長押と鴨居

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私のように勘違いしていた人もいれば、鴨居も長押もなんのことやらさっぱりわからない、という人もいるでしょう。イラストをごらんください。鴨居は開口部の上部についている横木で、襖や障子、引戸をはめ込む溝があります。そして長押は、鴨居の上に取り付けられるもので、柱と柱の間をつないでいます。長押と小壁の間に隙間がありますから、ここにハンガーをかけるわけです(長押がないので私は鴨居にかけていますが)。
鴨居は襖や引戸がある以上欠かせないものですが、私のアパートの部屋のように、長押のない和室はいま多いようです。古い和風の家にはありますし、新築でも和室に格式をもたせたい場合には長押をつけるそうです。とすると長押は、あってもなくてもいい、単なる飾りだというのでしょうか? 

洋服をかける場所ではないけれど…

結論から言いましょう。もともと長押は柱を固定するための構造材だったのですが、建築技術の発達にともない、徐々に装飾として用いられるようになったのです。
古代から、日本の木造建築の構造は、柱梁桁(はしらはりけた)構法が基本でした。柱や梁を組み合わせて骨組を作り、梁と垂直に桁を渡して建物を自立させる構法です。しかし、桁は柱の頂部をつなぐだけで、十分に強い構法とはいえませんでした。のちに、柱の頂部に凹型の溝を彫り、そこに貫(横材)を落とし込む頭貫(かしらぬき)という技法が生まれます。さらに柱をしっかり立てておくために、柱の両側から横材を当て、釘で留めたのが、長押の始まりです。

中世になると、中国から貫構法が入ってきました。これは柱の中間部に貫を通し、柱どうしをしっかり緊結する技術で、長押がなくても建物の強度は十分です。こうして中世以降、長押はだんだん薄く、しかし見た目は幅広になって、飾りへと変化していったのです。 くっきりと水平に連続する長押は、和室の空間を引き締めるデザインのポイントです。また、格式を決定するものとしても重視されるようになりました。そんなわけで、必要を感じなければ長押はなくてもかまわないものになり、本来は格式あるもののはずなのに、あればあったで洋服かけにされてしまうのです。なんだか哀れな存在ですね。

長押の思い出

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私の実家には、長押があります。べつに格調高い和室ではありません。古ぼけた普通の家の和室です。いきなり古い話で恐縮ですが、1699年、徳川幕府は禄高1000石以上の旗本の住まいにだけ、長押の使用を認めました。身分の低い者の家に長押をつけることを許さなかったのです。明治になって封建制度から解放され、庶民もあこがれの(?)長押をつけるようになりました。こうした流れで、私の家にも長押があるのだと思います。
ついでにもっと古い話をすると、平安時代には、長押の隙間に「屏風押さえ」を差し込んで、屏風が倒れるのを防いだそうです。当時の屏風はジグザグではなく、一直線に立てて置くものだったので、押さえが必要でした。また、武士が護身用の槍を長押の隙間に隠していたこともあったようです。
長押には思い出があります。中学の入学式を翌日に控え、真新しい制服を吊るしたハンガーを自分の部屋の長押にかけて、つくづくながめたこと。成人式のあと、脱いだ着物をしまう前に、母が座敷の長押に一日かけておいたのが、とてもきれいだったこと。
もちろん、和服も洋服もしまう前に風を通すためにかけておくのであって、いつまでもぶらさげておくものではありません。とはいえひとり暮らしの今となっては、長押ならぬ鴨居にジャケットをよくかけっぱなしにします。時にはハンガーに吊るすのさえ面倒で、ダイニングチェアの背にかけっぱなし、ベッドの上に投げっぱなし。母が見たら嘆きます。
先日100円ショップに行ったら、「長押フック」なるものが売っていました。長押の隙間に差し込むだけの、アンティーク風の金属製フックです。こんなものが出回っているのを見ると、長押もまだしばらくはだいじょうぶ。どっこい生きてる、という感じがします。(終)

【参考文献】
『日本の家 空間・記憶・言葉』(中川武著・TOTO出版刊)
『室内No.473』(工作社刊)

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