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「外壁の汚れやひび割れが気になるけど、外壁塗装費用はどれくらいかかる?」「悪質な業者にだまされないか心配」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。雨風や日差しにさらされる屋根や外壁は、建物を守るために定期的な点検や塗装リフォームが必要です。ただ、使う塗料によってリフォーム費用はかなり変動しますし、色選びに迷って決められないという人もいるのではないでしょうか。この記事では、住宅塗装リフォームの必要性やタイミングの目安、費用相場、最適な時期、費用を抑える方法、塗料選び、使える補助金の情報などについて、さくら事務所のプロホームインスペクターで一級建築士の坂 瑞貴さんに徹底解説していただきました。
目次
大切な住まいを雨風や紫外線から守り、長く美しく保つには、定期的な外壁塗装が欠かせません。ただ、リフォーム費用はそれなりにかかりますし、足場や養生シートで洗濯物の外干しや窓の開閉が難しくなることもあり、つい先延ばしにしまいがちではないでしょうか。
「紫外線や雨のあたり方、湿気のたまり方、現在塗られている塗料の種類などによりますが、屋根は7~8年、外壁は12~13年を目安に塗装するのがベストだと思います。屋根のほうが塗装のサイクルが短いのは、紫外線や雨が外壁よりも強くあたるからです」(さくら事務所 坂 瑞貴さん。以下同)
外壁塗装と屋根塗装を同時に行うなら、一般的には10年程度での実施が目安となるでしょう。なぜなら、工事には足場の設置が必須であり、屋根と外壁を別々に行うと手間もコストも2倍になるためです。
「最近は塗料の性能が向上し、耐久性が高い製品が増えています。そのため、12~13年で屋根と外壁を同時に塗装するケースが増えています。
ただ、外壁がサイディングの場合は注意が必要です。サイディング同士をつなぐシーリング材は10年程度で劣化して割れたりはがれたりします。雨水の侵入を防ぐためには、シーリング補修と塗装をセットで10年目くらいに行うほうがよいでしょう」
外壁塗装を適切な時期に行わないと、家の劣化が急速に進み、さまざまなリスクが発生します。単に美観が損なわれるだけでなく、雨漏りによる建物の構造部分の腐食や、シロアリ発生の原因となる可能性もあるのです。塗装リフォームを先送りにしていると、最終的には大規模な修繕が必要となり、外壁塗装よりも高額になることもありますので、劣化のサインを見落とさないことが重要です。
塗装リフォームが必要になるサインは屋根と外壁では異なり、用いられている建材によっても違います。
「屋根の場合、和瓦やスペイン瓦など“瓦”とつくものは塗装リフォームが不要です。スレートや金属製の屋根は、紫外線による色あせや、雨水によるサビが目立ち始めたら塗装リフォームを検討してください。特にサビは放っておくと腐食が進んで穴が開き、雨漏れの原因になるので、早めに対処したほうがよいでしょう。
屋根の状況を目視でチェックするなら、少し離れた場所や高い建物から屋根を見てみましょう。私たちインスペクターは、自撮り棒を活用しスマホで撮影してチェックしています。もし自撮り棒をお持ちなら、安全に十分注意しながら撮影してみるのもよいかもしれません」
住宅の外壁に用いられる建材は、モルタルとサイディングが主流です。
「モルタルとサイディングも経年により色はあせますが、手で触ると粉が付くチョーキングが発生したら早めに塗装リフォームを検討しましょう。チョーキングの粉は塗膜の下にある塗料の粉で、触ると手に付くのは塗膜がはがれて塗料の層がむき出しになっているということです。
また、モルタルの場合はひび割れ、サイディングの場合はシーリング材の割れやはがれが劣化のサインです。塗装リフォームを行うときに、一緒に補修工事をしてもらいましょう」
チョーキングが発生したら、早めに塗装リフォームを検討しましょう(画像/PIXTA)
外壁塗装を検討する際、最も気になるのが「費用」。初めて住宅塗装のリフォームを行う場合、費用のイメージが持てない方もいるでしょう。そこで坂さんに、以下の条件で外壁塗装費用の相場を伺いました。
<モデルケースの条件>
「使用する塗料の種類によりますが、上記のモデルケースにおける外壁塗装の材料費と人件費は、屋根は30~50万円、外壁は60~150万円が相場です。外壁のほうが費用の幅が大きいのは、塗る面積が広いので、塗料の価格差が反映されてしまうからです。
この費用に加えて、足場代として25~35万円が必要になります。屋根と外壁を一緒に行えば足場代は1回分で済みますが、別々に行うと2回分必要になるため、同時施工が総費用を抑えるポイントになります」
リフォーム費用が相場よりも高くなるのは、どのようなケースでしょうか。
「リフォーム費用が左右される要因は、建物の形や高さ、屋根勾配、塗装前に補修が必要か、塗料の種類などです。
建物や屋根の形が複雑な場合、足場の組み方も複雑になったり、塗装に手間がかかったりするため、シンプルな形の場合と比較すると費用が高くなります。さらに、屋根勾配が急な場合は、安定した塗装作業を行うために特殊な足場を設置するため、足場代もアップします」
総二階の家と比べると、形状に凹凸があり屋根の形が複雑だと塗装リフォームの費用は高くなります(イラスト/ホームプロ編集部)
補修については、例えば屋根材が割れていたら交換が必要になりますし、外壁がサイディングならシーリングの状態によっては打ち替え、モルタルの表面のひび割れが大きいと充填剤などで埋める必要があります。
「特に費用が高くなりがちなのが、サイディングの張り替えが必要なケースです。サイディングは外壁の下地材に釘で打ち付けられていますが、建物の揺れや、サイディングの裏側に水が入ることで釘が浮いてしまい、下地材との間に隙間ができることがあります。釘を打ち付けて元に戻ればよいのですが、戻らない場合はサイディングの張り替えが必要になります。
また、サイディング特有の現象で『爆裂』があります。サイディングの表面に傷が付くとそこから水が染み込み、冬にその部分が凍り、暖かい季節には水が溶けて膨らみ割れてしまいます。割れてしまうと塗装での補修は難しく、張り替えが必要になります。
張り替えるとき、同じ商品がないからと違う商品を使うと、張り替えた部分だけ目立つ可能性があります。それが嫌で一面すべてを張り替えると費用は高くなりますし、下地材が傷んでいたら交換が必要になるので費用はさらにかさみます」
住宅塗装リフォームの見積もりは、通常、足場を組まずに遠くから目視できる範囲で作成されます。したがって、実際に工事が始まって足場が組まれ、普段は見えない箇所や近い距離で見て初めて分かる劣化が発見されることもあるようです。
「見積書作成前に可能な限り入念に点検しますが、上階や屋根は足場がないと詳細な状況を確認するのは困難です。このような場合は事前に、足場からの確認後に見積もりが変動する可能性があるとお伝えしています。
実際、足場を組んで近くで見たら予想以上に傷んでいたため、下地材も含めて交換したケースはありました。また、下からは見えない所の屋根にスズメバチの巣があり、専門業者に来てもらって駆除したこともありました」
屋根や上階は近くで点検できないので、足場を組んだ後に補修が必要と分かるケースも(画像/PIXTA)
前述したように、住宅塗装リフォームの費用は、家の形や塗料の種類などで変動します。自宅のリフォーム費用を正確に把握するためには、複数の会社から見積もりを取り比べてみることが大事です。
「リフォーム会社によって見積もりの出し方は違います。例えば、外壁や屋根の面積や使う塗料の缶数、雨どいやシャッターボックスなど塗装する付帯物の個数、足場代など項目別に金額を記載する会社があれば、塗装工事一式で150万円と一項目だけ記載がある会社もあります。
リフォーム費用を無理なく抑えたいなら、見積もり項目が細かい会社のほうが何を値引きしたのか分かりやすいので安心して相談できます。一式としか記載のない会社は、値引きしてくれたとしても使う塗料の缶数を減らす、3度塗りが必要なのに2度塗りしかしないなど、値引きによりリフォーム品質が劣る可能性があります」
塗装リフォームは雨の少ない春・秋が繁忙期になります。逆に、梅雨や台風の時期は閑散期となりやすいため、この期間に値引きキャンペーンを行う会社があります。
「あえて閑散期に外壁塗装を依頼し、費用を抑えるのはよい方法だと思います。ただし、雨が降ると乾くまで次の塗装工程に進めないので、天候次第では工期が大幅に延びる可能性があります。工事中は足場や養生シートがあるのでうっとうしく感じますし、洗濯物は外に干せません。これらの不便を許容し、ある程度工期が延びても構わないというなら、検討する価値はあるでしょう」
台風や落雷などの自然災害で被災してリフォームが必要になった場合、火災保険に加入していれば保険の適用が受けられる可能性があります。
適用を受ける条件として、屋根や外壁の損傷が自然災害によるものと認められる、被害を受けてから3年以内である、リフォーム費用が契約時に定めた免責金額以上である、施主が自分で保険会社に申請するなどがありますが、詳細内容は保険会社に確認してください。
火災保険を使った外壁塗装詐欺に留意!
注意したいのは、「火災保険を使って塗装リフォームをしませんか」と持ちかけてくるリフォーム会社です。これは最近増えているリフォーム詐欺の手口の一つで、うそをついて火災保険を利用すると保険金詐欺となる可能性があります。突然訪問してきたリフォーム会社にこのように言われたら、リフォーム詐欺の可能性が高いので対応するのは止めましょう。
「火災保険を使えば無料でリフォームできる」はリフォーム詐欺の常とう句です(画像/PIXTA)
多くの自治体では、特定の要件を満たす住宅塗装リフォームに対し、リフォーム費用の一部を補助する制度を用意しています。ここでは主な補助金制度の概要を紹介しますが、自治体によって申請方法や期間、対象工事などが異なります。塗装リフォームをすると決めたら、早めにホームページなどで調べておきましょう。
(1)お住まいの自治体の情報を確認する:
外壁塗装を検討し始めたら、まずはお住まいの市区町村のホームページや、窓口で補助金制度の有無を調べてみましょう。「〇〇市 外壁塗装 補助金」などのキーワードで検索してみましょう。
(2)制度の目的と対象工事を理解する:
補助金・助成金は、それぞれ目的が異なります。「省エネ改修(遮熱塗料など)」「バリアフリー改修」「地域産材の使用」など、外壁塗装が対象となるか確認が必要です。
また、自治体によっては、地域内の登録施工業者に依頼することが条件となっている場合があります。
(3)申請期間と予算枠を確認する:
ほとんどの制度には申請期間が設けられており、予算枠に達すると受付が終了してしまうことがあります。外壁塗装を検討し始めたら、早めに情報を集め、計画的に準備を進めましょう。
ポイント:申請は工事前に行う必要がある
多くの補助金・助成金制度では、工事を始める前に申請し、承認を得る必要があります。工事後に申請しても対象外となる可能性が高いため、会社選びの段階から注意が必要です。
屋根の高反射改修(塗装や葺き替え)(※)、住宅の外壁改修(塗装)など、エコ住宅へリフォームする際に利用できる制度です。屋根塗装は1戸あたり10万円、外壁塗装は1戸あたり3万円が上限として支給されますが、外壁塗装の単独申請は不可となっています。
(※日射反射率(近赤外線)50%以上を有する塗料または屋根材を用いる改修)
葉山町内業者による住宅リフォームを実施する際に、リフォーム費用の一部が助成される制度です。補助金額は税抜き20万円以上の外装塗装や屋根補修などの対象工事に対し、一律5万円です。
我孫子市内の登録施工事業者に依頼して税込20万円以上の対象リフォーム工事を行うと、リフォーム費用の一部が助成される制度です。補助金額は、現在居住する個人住宅をリフォームする場合、補助対象経費の5%以内(上限10万円。子育て世帯または単身者に該当する場合は20万円)です。補助要件について詳しくは我孫子市のホームページを参照してください。
本人または配偶者が40歳以下で、申請者または申請者と同居する直系親族の持ち家をリフォームする場合、30万円以上の工事に対して工事費の5分の1(同居の場合は上限30万円、同居以外の場合は上限10万円)の補助が受けられる制度です。
10年以上居住している住宅に住む個人が、泉佐野市内の施工業者を利用して行うリフォーム工事に対して助成が受けられます。助成費用は補助対象工事費用の10%(最大10万円)です。
工事の適用範囲や工事前に申請が必要など、自治体によって要件が異なるので早めに問い合わせて確認しましょう(画像/PIXTA)
屋根も外壁も、塗装リフォームの流れは基本的に同じですが、塗料によって仕上げ塗りは1~3回と異なります。ここれは外壁塗装の一般的な流れと各工程で知っておきたいポイントを紹介します。
リフォーム中は高圧洗浄による水の飛び散り、塗料のにおい、足場があるときは洗濯物が干せない、窓が開けにくいなど、いくつかの注意点があります。どの工程で気を付けるべきかリフォーム会社に聞いたり、工程表で確認したりしましょう。
流れ1:近隣にあいさつする
ご近所にリフォーム内容や工期を伝えるため、着工前にあいさつに行きます。リフォーム会社の担当者と施主が一緒に行くケースが一般的です。
「近隣あいさつのときには、何かあったときの連絡先を記載した工程表を持っていきます。工程表を見せながら、この日は高圧洗浄の水が飛び散るかもしれないので車や庭の樹木にブルーシートをかぶせてよいですか、この日は塗料のにおいが強いと思います、などの説明をさせてもらいます。
普段は人けがない2階や屋根に工事職人がいて驚かれることがあるので、足場を組む期間もしっかりと説明しています。足場があると隣の家の2階に行けそうなときには、いつも以上に戸締りに気を付けてくださいと防犯上のお願いもしています。
あと、都市部などで家の敷地が狭い場合、足場の一部が隣の敷地に入ってしまうことがあります。そうなると事前に了解を得ないとリフォームができないので、契約前にごあいさつに行くようにしています」
着工前に工程表をもらい、生活上の注意点を確認しておきましょう(画像/PIXTA)(画像/PIXTA)
2:足場の設置と養生シートでの保護
安全かつ効率的な作業のため、家の周囲に足場を設置します。養生シートは、高圧洗浄の水や塗料が付きそうな窓ガラスや車、庭の植栽などを覆って保護します。
3:高圧洗浄、下地調整などの補修
高圧洗浄機で外壁や屋根についた汚れや劣化した塗膜などを洗い流します。洗浄後、劣化箇所を点検し、状態に応じて補修や下地の調整をします。
「施主さんに足場を登らせるのは安全上難しいので、屋根や外壁の現状を確認するために、このタイミングでリフォーム会社に一度写真を撮ってもらい、説明を受けるとよいでしょう。
出来ればこの後の下塗りや仕上げ塗りのタイミングでも写真を撮ってもらい、報告書として提出してもらえないか相談してみるとよいと思います」
4:下塗り
下塗りは、上塗り塗料の性能を最大限に引き出すための重要な作業です。下塗りを行うことで上塗り塗料が屋根・外壁材に吸い込まれて色むらができるのを防ぎ、上塗り塗料を密着させてはがれにくくします。
5:仕上げ塗り
下塗りが十分に乾燥したら、仕上げの塗料を1〜3回塗ります。中塗り、上塗りと表す場合もあります。ただ、塗料の種類によって、必要な塗回数は異なります。
6:付帯工事
仕上げ塗りが十分に乾燥したら、雨どいやシャッターボックス、換気フードなどの付帯物の塗装を行います。ちなみに、窓サッシやバルコニーなどアルミ製品は、塗料の密着性が低くはがれやすいため、基本的に塗装は行いません。
7:完了検査を行い、足場や養生シートの撤去
すべての塗装が終わったら、仕上がりの状態や塗り残しはないかなどを、施主とリフォーム会社が一緒に確認する完了検査を行います。完了検査で問題がなければ足場を解体し、養生シートを撤去したら外装塗装工事は終了です。
外壁塗装の工期は、建物の規模や劣化状況、塗料の種類などによって変動しますが、一般的な住宅(施工面積が広すぎず補修が軽微)であれば、屋根は4~7日程度、外壁は8~10日程度が目安です。
「屋根と外壁を同じタイミングで塗装すれば、工期は2週間程度で済みます。これは足場の設置や養生シートが一度で済むためで、工期面はもちろん費用面を考えても同時に行うのがおすすめです」
工期や費用を考えると、屋根と外壁の同時リフォームがおすすめ(画像/PIXTA)
外壁塗装において、どの塗料を選ぶかは、家の耐久性や美観、そして費用に大きく影響します。住宅外装の塗料は、屋根は屋根用、外壁は外壁用の中から選びます。さらに、外壁ならモルタル用やサイディング用などの素材や、つやの有無、表面の凹凸の有無などを考慮して選択します。ここでは主な種類別に特徴と耐久性、価格帯の目安を紹介します。
■塗料の種類別、特徴と耐久性、価格の目安
塗料の種類 | 特徴 | 耐久性 | 価格帯の目安 |
---|---|---|---|
アクリル | 価格は安いが、耐久性の低さから現在は仕上げ用の塗料としてはあまり使われていない | 4~5年 | 安 |
ウレタン | 耐候性や耐摩耗性が高く木部の塗装などには用いられるが、仕上げ用の塗料としてはあまり使われていない | 5~7年 | ![]() |
シリコン | 粘着力が高く、防水性や撥水性、耐光性が高いため、現在、仕上げ塗料に多く使われている | 8~10年 | |
ラジカル | 劣化因子であるラジカルの発生を抑えるため耐久性が高い。現在、仕上げ塗料に多く使われている | 10~15年 | |
フッ素 | 太陽光や風雨、温度の変化などの厳しい気候にも耐える耐候性や耐久性に優れている | 15年前後 | |
遮熱 | 熱が侵入するのを抑え、室内の温度の上昇を抑える効果が高いため、屋根の塗装に多く用いられている | 10~15年 | |
光触媒 | 太陽の光に反応して汚れを分解し、雨が当たることで汚れが流されるため、美観が保ちやすい | 15~20年 | 高 |
塗料の種類が同じでも製造会社や商品によって特徴や価格は異なるので、選択するときにはリフォーム会社とよく相談しましょう(図表作成/ホームプロ編集部)
「塗料の種類は、紫外線のあたり方による色あせ、湿気によるコケやカビの生え方など、周辺環境からくる劣化の度合いをチェックしたうえで、塗料の特性を踏まえて提案しています。
予算との兼ね合いで、最近はシリコン塗料が一番多く選択されていると感じます。ただ、シリコン塗料より単価が少し高いラジカル塗料のほうが耐久性は高く、性能と価格のバランスがとれていると思うので、私はラジカル塗料をおすすめすることが多いです。
というのは、今後も物価高は続き、塗装リフォームに必要な資材費や職人の人件費も高騰していくと考えているからです。それなら今回のリフォームで予算が許す限り性能が高い塗料を選び、メンテナンスの頻度を抑えていくほうが賢明といえるのではないでしょうか」
迷いがちな塗料の色選びですが、理想のイメージと実際の仕上がりのギャップを防ぐためのポイントはあるのでしょうか。
「まずは色の特性とメンテナンス性ですね。白など薄い色は汚れが目立ちやすい傾向がありますが、太陽光を反射しやすいため遮熱効果が期待できます。黒など濃い色は汚れが目立ちにくい半面、夏場には視覚的に暑くて重苦しく感じやすいなど、色によるメリットとデメリットを併せてお伝えしています。」
「また、周囲との環境の調和も大切です。自分の家でも雨どいやシャッターボックスなど一緒に塗装する部分と、サッシやベランダなど塗装しない部分があるので、それらとの色のバランスを考慮しましょうとお話しています。また、近隣の家々や街並みとの調和感も検討ポイントですね」
「皆さん悩まれますが、最終的に今の家と同じような色を選ぶ方が多いと感じます。とはいえ、外壁塗装は家の印象をガラッと変えるチャンスでもあります。例えば、ブラウン系の外壁を濃いネイビー系に塗装したことがありますし、屋根はベージュ系からピンクや黄緑に塗装したことがあります。
よく質問されるのが、既存の屋根や外壁が濃い色の場合、白や薄い色を選べるのかということです。基本的に塗装リフォームは下塗りと仕上げ塗りで合計3回は塗装するので、下の色が仕上がりに響くということはありません。もし心配ならリフォーム会社とよく相談したうえで、下塗りで白色を選んで既存の色を消してもらい、仕上げ塗りを2~3回塗ってもらうとよいと思います」
塗料の色は、小さな見本で見るのと、実際に外壁に塗られた大きな面積で見るのとでは、印象が異なります。色には「面積効果」というものがあり、面積が大きくなるとより明るく見えてしまうためです。
塗料の色は、リフォーム会社が用意してくれる見本帳の中から選びます。見本帳の中から候補色を3~4つ程度選ぶと、その塗料をA4サイズ程度の紙に塗ったサンプルを用意してくれます。
「ただ、A4の塗料サンプルだけで色を確認しても、屋根や外壁など広い面積に塗ると、イメージよりも明るく感じてしまうケースもあるようです。
私がご提案する場合には、選んでいただいた色よりもう一段階明るい色のサンプルも用意しておきます。それを見せながら、仕上がりはこのぐらい明るくなりますと説明することで、色選びでの失敗や後悔を防ぐようしています」
塗料サンプルは数種類用意してもらい、実際に外壁や屋根の近くに置いてみて日光があたったときの雰囲気や時間帯による見え方などを確認するとよいでしょう。
面積が大きくなると明るく見える「面積効果」を考慮に入れて、屋根や外壁の色を選びましょう(画像/PIXTA)
塗装リフォームを検討しているものの、どこに相談すればよいのか分からないという人は多いかもしれません。そんなときは、家を建てた会社や、家の購入でお世話になった不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
「全く知らない会社に相談するよりも、家のことを多少でも把握している人に相談する方が安心できますよね。同様に、設備や内装のリフォームをお願いした会社があれば、屋根や外壁塗装ができないか相談してみるのもよいと思います」
外壁塗装は、高額な費用がかかる工事だからこそ、業者選びが非常に重要です。官公庁のデータを見ると、リフォーム契約にまつわる摘発件数や、訪問販売によるリフォーム工事の相談件数は増加傾向にあることが分かります。特に屋根工事に関しては、普段じっくりと見ることが少なく、状態を把握していない人が多いため、悪徳業者のターゲットにされやすいようです。
「突然訪問してきた業者に、屋根材が外れている、塗装が剥げてさびているなど言われ、雨漏りしないうちに急いで工事しましょうと勧められて契約するケースが多いようです。すべてが詐欺業者とは限りませんが、基本的には突然訪問してくる業者に依頼するのは止めるほうがよいです。
今日契約したら工事費を値引きしますと言われても、必ず複数社に見積もりを取って、わが家に必要な工事と、かかる費用を比較するようにしましょう」
外壁塗装の業者選びで、最も重要な判断材料の一つが見積書です。前述したように、リフォーム会社によって見積もりの出し方は違いますが、工事一式のみとしか記載がない会社もあれば、塗装面積や塗料の缶数、足場代まで細かく記載する会社もあります。
一式としか記載がない場合、使う塗料の種類や含まれる工事内容が分からないため、イメージどおりに仕上がらなかったり、突然追加の工事費を請求されたりするかもしれません。見積もりが細かく丁寧に作成されている会社なら、費用面や仕上がり面で納得して依頼できるでしょう。
見積もりで提示された工事費や工期は業者選びの重要な要素ですが、それだけで決めないことも重要です。「安すぎる工事費」や「短すぎる工期」には手抜き工事や品質低下のリスクがあるからです。
「工事費があまりにも安い場合、塗料を薄めて使うなど、必要以上に材料を少なく見積もっている可能性があります。丁寧な見積もりには施工面積と塗料の缶数が記載されているので、安い見積もりを出してきた会社があれば、どのように計算しているのか聞いたほうがよいかもしれません」
また、坂さんは、工期を短く言う会社もあまり信用できないと話します。
「工期が長くなると、その分人件費は高くなりがちです。リフォーム費用を抑えるために工期を短くして、仕上げ塗りは2回塗るべきなのに1回しか塗らない、乾かしてから2回目を塗る必要があるのに乾く前に塗ってしまうなど、施工マニュアルを守らないケースもあるようです。
そうすると当然リフォーム品質は劣ります。前述した工期の目安よりもかなり短い場合は、理由を聞いたり、工程表を提出してもらったりするとよいでしょう」
工事費の安さや工期の短さは魅力ですが、見積もり内容を重視してリフォーム会社を選びましょう(画像/PIXTA)
家を長持ちさせるためには、リフォームの目安となるタイミングで屋根と外壁をしっかりと点検して、状況に応じて補修や塗装を行うことが重要です。塗装リフォームを行う際は、複数の会社から見積もりをとり、比較検討したうえで会社を選びましょう。突然訪問してきた会社とその場で契約を結ぶと、リフォーム詐欺に遭う可能性があるので注意が必要です。塗料や色はリフォーム会社と相談しながら選び、納得できる塗装リフォームをしてください。
●取材協力
坂 瑞貴さん
さくら事務所 プロホームインスペクター 大手リフォーム会社にて営業・設計・施工管理、大手ハウスメーカーにて営業・設計に従事した後、建築士事務所を設立。リフォームや賃貸サポートに従事しており、リフォームでは700件以上の施工経験がある。一級建築士、既存住宅状況調査技術者、福祉住環境コーディネーター2級。
取材・文/山南アオ
信頼できて予算に合って評判がいい…、そんなリフォーム会社を自分で探すのは大変です。
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2001年のサービス開始以来、多くのお客さまにご利用いただいています。
利用者数
※2024年4月~2025年3月
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